映像づくりのWorkFrow
さて、セミナーだったり日々の勉強内容だったりのもろもろを時間が取れたら記事にしようとネタだけは貯めていました。ところが締め切りに次ぐ締め切りということでいつになったら記事にするのかという状況に。。。
日々学んできた自分の成長の過程を残すということと、学んだことを言葉にすることで記憶の定着を図るという本来の目的を果たすため、そろそろ現状を打開せねば。
ということで今回は初フル3DCGを制作した際のワークフローについて簡単にまとめてみます。マルチパスやコンポで複雑なことを扱ったりややこしいことはしてないです。3DCGを触りだしたばかりの初心者の自分がとりあえず完成することを目標に辿った工程になっています。
2018 4月に本格的に3DCGを触り始めてから2019年1月に1分間のショートムービーを作りました。制作期間は冬コミが終わってからなので半月くらいです。この映像はDGruwier氏の映像作品をリファレンスにMAYAをハブにして各種ツールのスキルの取得、全体の映像制作の工程を学ぶ目的で制作しました。
おおよその絵コンテを作り始めた後の疑問はこんな感じ。
・フル3DCG映像を個人で作る最適なワークフローは?
・各種ツールは何を使うの?
・どうやってレールに沿わせて動かすの?
・そもそも映像として出力するにはどうするの?
・なにもわからん(´・ω・`)
と、こんな感じでよく作れたなと言った感じですが、手探りですが何とかなりました。
WorkFrow
①絵コンテ:全体のイメージの把握と必要なアセット、作りこみの優先度を意識して今後の制作に当たります。アップルシードαなど最近3Dコンテも取り入れた作品も増えてきていますね。
■プロダクション
②モデリング、UV展開、リギング(Maya,Substance Painter,Marvelous Designer):絵コンテで登場したアセットを作成。絵コンテから見えないところや不要なところは造り込みません。ピクサーのワンセントコイン現象というものがあります。クオリティのかけどころをしっかりと確認します。それぞれ得意なツールを用いて作成。
③テクスチャリング、ルックデブ(MAYA,SP):フォトリアルなCGの場合、予め既知の反射率の色味を持ったカラーチャート+グレーボール+ミラーボールと一緒に撮影したHDRI環境下でそのカラーチャート達を基準とし、テクスチャやシェーダーを調整します。こうすることでCG世界のルックを現実世界と近しい値にすることが出来ます。シェーダー開発なんかも含まれる工程だそうです。SPで作成した見た目をMAYA上で調整して再現します。
④プリビジュアライゼーション(アニマティクス)、レイアウト(MAYA):モデルの差し替えが効くためリファレンス機能を使ってモデルを取り込む。反射の計算が増えるので不要なアセットは重くなるだけなので非表示にします。プリレンダーにおける動画制作では重要です。本来はいろんな工程が同時進行しているので気軽に変更したら音楽つける人とかに怒られます。
⑤アニメーション(MAYA):24fpsでアニメーションを付けています。列車の動きはレールに沿ってカーブを描きモーションパスで動かしています。42秒あたりから螺旋状に回転させようとしましたがうまい方法が分からなかったため保留。ここは今後の課題です。
⑥ライティング(MAYA):3ポイントライティングが基本と聞きましたが今回は適当にしました。ハードライトとソフトライト、逆光や順光などをはじめとしたライティングについても勉強しないといけません。
⑦レンダリング(Arnold):シーケンスレンダーで連番レンダリング。exrとか情報を持ったデータでレンダリングしても良いですが、今回はシンプルにjpgで一枚一枚書き出しをしました。今回の場合24fpsで1分間の映像なのできちんと作れば合計1440枚分です。コンポで引き延ばしたり調整出来たり割とフレキシブルなので深く考えず作ってました。後工程のコンポでこの画像をつなげて動画とするのです。
Arnoldは成分ごとにレンダリングノイズを確認できるので、比較的他のレンダラーよりノイズ消しはしやすいのですが、今回使用した低スペックPCではレンダリング時間がかかりすぎた(ノイズだらけでも1枚20分強)+工程の勉強のための習作なためノイズ取りはあえて行っておりません。
おそらく被写界深度をレンダリング時に設定したことにより重くなってる気がします......ノイズに影響するサンプリング設定はAOVごとに確認できるのでいずれしっかり勉強したらノイズ消しの方法も書いていきたいと思います。
■ポストプロダクション
⑧コンポジット(After Effects):画像を連番でシーケンスとして読み込みすることが出来ますので、最初の1枚を読み込んで編集します。今回はマルチパスでレンダリングせず、ただのJpegなので最終的なbeauty画像しか扱いません。コンポというより編集作業ですね。本来ならここでAOVごとにレンダリングした画像に被写界深度やらモーションブラー、色調補正などの処理を加えれば大きなクオリティアップや効率化につながります。
友人に作ってもらった音楽をAEに取り込んで、その音に合わせてカット割りを微調整。実は24fpsでは動画の尺が足りなかったので、無理やり引き延ばしたりもしていますがいろんな問題はこの工程でだいたい何とかなるイメージです。。。最後に簡単なテキストアニメーションを入れて最終的なルックを作ります。
ちなみに今回は扱いませんでしたが、動画ファイルをAEで扱いたい場合は.movなどの非圧縮ファイルでレンダリングしたものを使用します。MP4などではエンコード時に2重に圧縮がかかってしまい画質が悪くなってしまうたお勧めできません。
⑨エンコード(Adobe Median Encoder):メディアエンコーダーでYoutubeの推奨形式にエンコード。
Projectを開始したときはツールの使い方も、動かす方法も映像として出力する方法もサッパリわからないところから始めました。正直正しい方法かもわかりませんしコミケとか2Dに浮気してる場合ではなくまだまだ技術も内容も拙いですが、簡単なものでも最初の1年のうちに全体の工程を体験出来たのは大きな収穫だったように思います。
今後もどんどんコスパに優れた方法を模索していこうかと思います!